甘いペットは男と化す
23章 結果
 
「社長。最終面接を終えた方がお見えになりました」
「通してくれ」


扉の向こうで、久しぶりに聞いた低い威厳のある声。

何も知らない村雨社長は、きっと社長椅子にふんぞり返っていることだろう。


「どうぞ」
「失礼いたします」


芯のある声で、真っ直ぐと挨拶を交わす。
深々と頭を下げ、きりっと顔を上げた。

まだ書類に目をやっている村雨社長。
あたしの存在には気づいていない。


「北島朱里と申します。どうぞよろしくお願いいたします」


はっきりと自分の名前を述べて、向こうの反応を待った。


「……北島…朱里……?お前は……」
「お久しぶりでございます」


初めて、動揺した顔を見た。

社長椅子にふんぞり返っていた村雨社長は、あたしの姿を見て目を大きく見開いた。
 
< 324 / 347 >

この作品をシェア

pagetop