甘いペットは男と化す
 
「えっと…新幹線は……」
「こっち」


駅に着いて、普段乗り慣れない新幹線のホームを探す。

だけど、ここ最近何度も名古屋へと行き来しているケイは、さすがに分かり切っているのであたしの手を引いた。


手を繋ぐなんて当たり前の行為だけど、
やっぱりそれはくすぐっく感じるほど嬉しい。

この先もずっと、あたしはこの手を頼りに生きていくんだ……。


ようやく新幹線の改札が見えて、それをくぐろうとした。

だけど……



「あ……」

「何?」



すぐ脇の、一人の人影に気が付く。


遠目からでも伝わる、綺麗なスタイル。
肩よりも上の、さっぱりとした髪形。


「……サキ…」

「やほ」


そこには、相内先生がいた。
 
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