甘いペットは男と化す
 
何あれ……。


おそらく、自分の部屋の前と思われるドアの前に、何か大きな物体が座り込んでいて、それが人であるということはすぐに認識した。


ここはオートロック式マンション。
だから下手に、他人は侵入出来ないはず。

ということは、隣人か上の階の人が、酔っぱらってとかで間違って居座ってしまっているんだろうか……。


そんなことを思いながら、おそるおそるその人物へと近づいた。



「……あの…」

「……」



声をかけてみたけど、反応なし。


まさか……
死んではない、よね……。


いらない不安を掻き立てながら、もう一度その人へ向かって声をかけた。



「あのっ……」

「……ん…」



よかった。今度はかすかに反応した。


「すみません!
 大丈夫ですか?」

「……」


少し大きめの声で、彼の意識がハッキリするように問いかける。

その効果もあり、ずっと膝に顔を伏せていた彼の顔が、ゆっくりと持ち上がった。
 
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