婚約者はホスト!?②~愛が試される時~
疑惑の心

二週間に渡る新人研修もようやく終わり、今日からは、いよいよブライダル室に勤務となった。

「今日から、こちらに配属になりました松井健人です。どうそ よろしくお願いします。」

「同じく、瀬崎なつです。よろしくお願いします。」

朝のミーティングで、私と松井くんが挨拶するとブライダル室の社員たちが一斉に拍手した。
この ブライダル室は宴会部の中でも婚礼をメインとしているので、室長と主任を除いてはほとんどが女性社員だ。

緊張したまま立っていると、私達の前に少し年配の男性がやってきた。

「私は、室長の梶谷だ。よろしく。二人にはどんどん自分の意見を出して欲しい。新人だからって遠慮することないからな…。」

「「はいっ。」」

私と松井くんは、声を揃えて返事をした。
今の室長の言葉が、松井くんにはそうとう嬉しかったらしく目を輝かせていた。

この人、悪い人ではないんだよな…。
この二週間一緒に研修を受けていて、彼の仕事に対する真面目さと熱心さがよく分かった。 相変わらず私にはきついけれど…。

ボーッとしながら松井くんの横顔を見ていたら
突然、肩を叩かれた。

「瀬崎さん 今日からあなたの指導係の紺野です。よろしく…。」

「はい よろしくお願いします。」

顔をあげると、30歳くらいの女性がにこりと微笑んで立っていた。
よかった…。
すごく 優しそうな人だ…。
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