穏やかと癒し・・・ときどき、あい・・・
2度目
2度目の誘いは定時を迎えた時だった。

「今から時間ある?」

隣の席の早川さんは少し椅子ごと近づき、そう言った。

「えっ?」

今日は少し残業になる予定にしていた。

「森さん曰く”あいつ”の話、聞きたい」

私は頭を抱える。

そうなるよねぇ・・・

あんな風に言われたら誰でも聞きたくなるよね。

『咲希はつらい恋をしたの』

私にとったら余計な話をしてくれた。

話したくない。

あの頃の自分は人に知られたくない。

「先週の金曜日は”隣のよしみ”だったけど、2度目は?」

話を聞きたいってだけは嫌だったから、そう聞いてみた。

「・・・”友達”だから、咲希の話聞きたい」

暫く沈黙した後に彼はそう言った。

「わかった。でも少し残業したいんだけど・・・」

「ああ、俺も少し残るから、この間のお店に7時半でどう?」

「了解。じゃ直接お店に向かうね」

そう言うと、残業し始める。

”友達”と、言ったのは彼の優しさだろうか?

でも早川さんになら話してもいいかと思っていた。
< 11 / 181 >

この作品をシェア

pagetop