穏やかと癒し・・・ときどき、あい・・・
ちょうど7時半に先日のお店に到着した。

早川さんは先に来ていた。

「お疲れ様です。私より出たの遅かったですよね?」

二人掛けのテーブル席。

早川さんの向かいに座る。

「そう思ったけど、先に着いた。歩いた道かな?」

なるほど。

「ビールでいい?」

「うん。それと枝豆とたこわさ」

「ザ・酒飲みだな」

「気取る必要もないですから・・・」

「確かに」

店員さんが注文を取りに来て、ほかの物も一緒に頼んだ。

気取る・・・これから話すこと考えたら気取れない。

「最初にお願い聞いてくれる?」

「えっ?」

「名前で呼んで?」

「えっ?」

「気取らないし、気兼ねないし、気を遣わないだろう?ホントの”友達”として」

「了解。じゃ孝徳でいい?」

「ああ」

ちょうどビールがきて、乾杯。

なんか不思議。

この人とならホントに”友達”になれそう。

「朝のことで誰かに何か言われた?」

「言われたよ。なんでお前が緒方さんと一緒に出勤してんだよ。って数人にね」

「どういう意味?」

「どういうって言われた事実を言ってるけど?」

「ん?」

「自覚ないんだね」

「自覚?」

「咲希は俺と一緒に出勤したのを言われる。って思ってるかもしれないけど、そうじゃなくて、俺が緒方咲希と一緒に出勤したことをみんな言ってるんだよ?」

「意味がわからない」

「咲希自身が思っている以上に緒方咲希を気にしてる人がいるってこと」

「絶対いない」

ビールを半分飲み干す。

「美味しい」

「まっいいや、じゃ本題に入っていい?」
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