穏やかと癒し・・・ときどき、あい・・・
伝えたい気持ち
その後、加奈子とランチと買い物を楽しんだ帰りに「きちんと伝えるのよ」と、帰りの電車で降りる間際に私にそう言った。

試験が終わってからって思っていた気持ちが少し揺らぎ、今日、伝えてもいいのかと思ったりする。

一度家に帰り、シャワーを浴びる。

いつもの用意が少し違って感じるのはなんだろう?

それは私の気持ちの変化?

とても早く孝徳の顔が見たい。

自分勝手な私の気持ちを孝徳は受けてくれるだろうか?

『俺を好きになれよ』って言ってくれたけど、私が気持ちを伝えたらどう思うんだろう?

受け入れてくれる?

そっか、あんまり考えてなかった。

"友達以上恋人未満"だけど?

なんて言われたらどうしよう?

そんなことを考えていると時間が過ぎていく。

ピンポーン

インターホンが鳴る。

孝徳には最寄り駅に着いてすぐに連絡していたので、時間を見計らって迎えに来てくれたのだろう。

私はインターホンに応答し、「すぐに降りる」と、伝えた後に急いで用意し、下に降りた。

「おまたせ」

エントランスにいる孝徳の前に到着。

顔が見たいと思っていたのに、恥ずかしくて顔が見れない。

「珍しいな。迎えに来るの早かったか?」

「ごめん。ゆっくりし過ぎちゃった」

いつものようにボストンを持ってくれる。

「ありがとう」

「どうだった?森さんとの買い物」

孝徳のマンションへと歩き出す。

「楽しかったよ。いっぱい話もした」

「そうか、良かったな。じゃこれから勉強な。昼間の分取り戻すように」

やっぱりそうなるよね。

「頑張ります」

言えそうにない。

やっぱり試験が終わってからかな。

< 95 / 181 >

この作品をシェア

pagetop