星月夜

戸惑う心




ザー…ザー…


「ぅん…?雨……?」



あの後滝沢先輩の声から逃げる様に部屋の中に入りベッドに頭だけ乗せていた私は、いつの間にか眠ってしまっていたらしい

けどそれは眠ると言うより意識を失うと言う方が正しいのかも知れない


ここ数日、まともに眠る事が出来ない

浅い眠りを繰り返しては息苦しさで目を覚ます





…滝沢先輩はもう帰ったのかな?


そっと玄関に近づきドアの覗き窓から確認すると人らしき姿は見えずほっとした



そうだよね、こんな雨の中待ってるなんてあり得ないよね


ほっとしつつも何処か寂しかった



私は部屋の中に移動し無意識にカーテンを開けると

マンションのすぐ下に街灯に晒された1台の車が目に入った


うそ!?


それは間違いなく滝沢先輩の車だった
しかも、持ち主の影は車の中に居ないみたい




私は慌てて玄関に戻りドアを開けると…ドアのすぐ横にしゃがみ込む滝沢先輩の姿があった



「何やってるんですか!?」



滝沢先輩は雨に晒され濡れていた



「……やっと、出てきた」





どうして……?


どうして私なんかの為にこんな事するの?




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