俺様生徒会長に鳴かされて。
「は?…そりゃ、おまえと雪矢の声が聞こえたから」


「聞こえたって、目覚めてたの?」


「た、たまたまだよ。たまたま目が覚めて」


「…もしかして、

あまり眠れなかったの?」


「……」



やっぱり、そうなんだ…。



「なんだよ、悪いかよ」


「あの…怒ってない…?」


「は?なにが?」



また顔を赤くさせている彪斗くんに、わたしは昨晩からずっと気になっていたことをきいた。



「昨日、彪斗くんとじゃなく『寧音ちゃんと暮らしたい』って言われて腹立ってのかな、って。

それで眠れなかったのかな、って…」


「…べつに、んなわけ…

なんだよおまえ、そんなこと気にしてたのか…?」


「だって…。

部屋を出ていく時の彪斗くん、ちょっといつもとちがったから…」



一瞬目を見開いたけど、

ふっ、と彪斗くんはすぐに目を細めた。



あのヤマネコのような、鋭い微笑だ…。



「なに、おまえ…

ホントは俺と暮らしたかった、とか言いたいの?」


「ち、ちがうよ…っ!

ただ、彪斗くんを怒らせたんじゃないかって、心配で仕方がなかったから…っ」


「じゃ、なんだよ。

もし俺が怒ってたら、今日から一緒に暮らしてくれたの?おまえ」


「えっ…それは…」



獲物を狙うような顔で、彪斗くんがじっとのぞきこんでくる。



「…いいのかよ。

俺と暮らしたら、多分おまえ…寝られないよ?」


「…え」



どういう、意味だろう?



「ベッドに入ったまんま、数日は出られないよ…?」


「……?

えっと…

それは、彪斗くんの『抱きまくら』になってしまう、ってこと?」





きょとん、と彪斗くんが目を丸めた。





けど。





「ぷっ…!

あっははっは!!

やっぱマジボケてんな、おまえ」





お腹を抱えて爆笑する。
< 164 / 269 >

この作品をシェア

pagetop