俺様生徒会長に鳴かされて。
最初に口を開いたのは、わたしを連れてきた子たちだった。
「あんたさ、図に乗るのもいい加減にしたら?
みんな、あんたのせいで、理不尽な思いしてるんだから」
理不尽な思い…?
どういうことだろう。
「ムカつくのよ。
転校してきた早々、芸能活動をするでもないのに、生徒会入りなんかして。
本当はね、あの空いていた生徒会の座に座ったのは玲奈だったのよ?」
玲奈さんが…。
「そうよ」
やっと口を開いた玲奈さんの声は、とても落ち着いていたけど、それだけに凄みがあった。
綺麗に化粧された大きな目が、わたしをにらみ据える。
「あんたみたいなのがいると、一から努力してがんばってきた私たちが損するのよ。
私は、生徒会に入るに相応しい実力だったし、彪斗にも認められていた。
…なのに、ポッと現れたあんたに、なにもかも奪われてしまったのよ…!
どんな手を使ったかは知らないけど、ちょっと可愛いからって、彪斗をたぶらかして。
この、卑怯者」
卑怯者…
思っても見なかった言葉が、深くわたしの胸を突き刺した。
「彪斗もどうかしてるわ。
あんたみたいなのを特別扱いなんかして。
ま、別にもう彪斗がなに考えようが、わたしには関係ないけど」
そう言いながら、なにかに耐えるようにじっとにらんでくる目を見て、わたしは思う。
玲奈さんは、まだ彪斗くんのことが好きなんだ…。