わたし、式場予約しました!
「鈍いな。
 だが、佐野のせいで迷惑を被っていいたのなら、あいつにちゃんと言っておけ」

「それ、佐野先輩に文句言ってもねえ。
 ああ、でも、じゃあ、ありがとう」
と言うと、なにがだ、と言う。

「おにいちゃんが兄だってことで、私のご機嫌とってくれる女の人たちも結構居たよ」

 そうか、そりゃよかったな、と適当な返事をして、和歩は立ち上がる。

「今度、綾子さんと、ボルダリングに行くよ。

 そういえば、私の方がおにいちゃんより、綾子さんと会ってない?」
と言うと、

「そうだな。
 電話でしか話さないからな」
と言う。

 よくわからないカップルだ。

「ねえ、綾子さんが、いつか私は綾子さんを嫌いになるって言ってたんだけど」
と言うと、和歩は少し考える風な仕草をする。

「お前がそれで、あの人を嫌いになるかどうかはわからないな」

 そう言う和歩には、綾子の言葉の真意がわかっているようだった。

 おやすみ、と行こうとする和歩を呼び止める。

「待って。
 おにいちゃん、パスポートとった?」

「パスポート?」

「海外挙式って聞いたけど」
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