わたし、式場予約しました!
いい会社に勤めてんな、と一真は言ったが。
田舎の会社なので、地元の人間が多い。
つまり、昔からの知り合いも多い……。
他のフロアに居る三田という高校の先輩に廊下で出会った。
彼は顔を見るなり、
「瑠可。
和歩、結婚するんだってな、どんな美人だ」
と訊いてきた。
「さあ、見ていないので」
「そうか。
今度連れて来いって言っとけ」
和歩にとっても先輩に当たる三田に言われ、はい、と瑠可は頷く。
横で聞いていた麻美が言った。
「ねえ、ほんとに存在してるの? その彼女」
「……おにいちゃん、そこまで追いつめられてませんから」
架空の彼女を作り上げなければならないほど、切迫したりはしていない。
ふうん、と言った麻美は、
「結局、王子様はお姫様とは結婚しないのね」
と呟き、じゃ、とお手洗いに消えていく。
王子様はわかるけど。
お姫様って誰だろな、と思いながら、瑠可はその後ろ姿を見送った。