≪短編≫群青
chapter 6


どんなに泣き腫らしても、朝は来る。

おまけに、登校してすぐに、掲示板に張り出されていたテストの日程表を見つけて、私は現実をまざまざと突き付けられた気分だった。


とぼとぼと教室に入ろうとしていたところで、



「長谷川さん!」


呼び止められて振り向くと、息を切らして走ってくる、市井くんが。



「お、おはよう」

「……おはよう」

「えっと、昨日はごめんね」

「あぁ、うん」

「で、えっと、俺、昨日あのまま帰っちゃって、よく考えたら携帯も何も教えてなかったことに気付いて」


「だから、これ」と、差し出されたメモ紙。

そこには市井くんの携帯番号とメールアドレスが書かれていた。


驚いて立ち尽くしていた私に市井くんは、



「まずは友達からっていうか? 普通にメールとかしたいなって思って」


そして、半ば強引にメモ紙を押し付けられた。

私が呆気に取られていると、



「じゃ、じゃあね!」


と、また逃げるように去って行ってしまう。


本当に忙しい人だなと思う。

と、同時に、私はそのスピードに流されているな、とも。



今度こそ教室に入ると、
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