≪短編≫群青


2年D組。


新学年だとか、新しい教室だとか、新しい友達だとか、私だって少なからず、そういうことに期待はしていた。

けど、今はもう、そんなの吹き飛ばすくらいの絶望感が。




教室にやってきて気付いたのは、問題なのは大雅だけじゃなかったということ。

このクラスには、大雅がいつも一緒にいる、色とりどりの頭の男たちも、同じように押し込められていた。


多分、学校一の熱血教師である担任が、まとめて相手をしてやろうという腹だろうけど、私からしてみれば、迷惑千万でしかない。


くじならハズレ、おみくじなら大凶。

どうしてこんなクラスに入れられてしまったのか。




席についてうな垂れていたら、始業のチャイムが鳴るぎりぎりに、



「うっおー! 大雅! 来たのかよ! 今年も同じクラスだな! よっしくー!」


教室の後ろから、大声が聞こえてきた。

恐る恐る振り向くと、気だるそうな顔で入ってきた大雅が。



「うるせぇ。何でまたてめぇと一緒なんだよ」


元々、朝が苦手な大雅なので、不機嫌なのは仕方がないとはいえ、遅刻せずに来たことだけは感心した。

が、今は老婆心を出している場合ではない。



「こっちは眠てぇのに、朝から大声で叫ぶな」

「寝不足か?」

「昨日、ヤリすぎた」


教室の後ろから聞こえてくる会話に、思わず私はびくりと反応する。

信じられないという顔で大雅を睨んだが、当の本人は私の存在にすら気付いていないみたいな態度で、



「あぁ、北女の? お前、すっげぇなぁ」

「まぁな」


にやにやと誤魔化すだけ。
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