≪短編≫群青
「ありえない」


思わず声に出てしまう。

大雅と同じクラスだなんて、ほんとにありえない。



100歩譲って、昔ならまだよかっただろう。


でも、今の大雅は学年でもかなりの問題児の部類にいる。

廊下でですら下世話な話に花を咲かせているような男なので、すれ違うことすら嫌だったのに、なのに、同じクラスで、いつもくだらない女たちとの交友録を聞かされることになるなんて、考えただけでも憂鬱になる。



「ねぇ、萌。どうやったら今からクラス変更できると思う?」

「えっ」

「私、D組だけは嫌」


悲壮に声を震わせながら言う私。

萌は驚いたような顔をした後、



「綾菜ちゃん、やっぱり私と同じクラス、嫌なんだね」


と、頓珍漢なことを言って、泣きそうな顔をした。

これにはさすがの私も慌ててしまい、



「いや、萌がどうとかじゃないよ。萌と同じクラスなのはいいの。でも、D組が嫌だっていう話で」


精一杯でなだめる言葉を並べる羽目に。

萌はぐすんと鼻をすすり、



「そうだよね。担任、小杉だしね。あいつ、熱血すぎてうざいもんね。他のクラスの先生の方が優しいし、そっちの方がよかったよね」


と、また頓珍漢なことを言いながらも、一応は納得してくれたらしい。


萌は可愛いし、親友だし、大好きだ。

でも、こういうところは非常にめんどくさいと思う。



どうにか落ち着きを取り戻したらしい萌は、



「けどさ、諦めなよ、綾菜ちゃん。クラス変更なんて、できるわけないよ」


ほほ笑んで、私を刺し殺すような言葉をくれた。

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