ラストボーイ







本当はもっと欲深く願えば良かったかもしれない。



こいつが俺を好きになりますようにとか、
俺の彼女になりますようにとか、
でも、どんな形であれ、俺は芽生といたい。



それが一番だった。



俺がこいつを好きでいても、
こいつが俺を幼なじみとしか見てなくても、
俺は芽生と一緒にいれたらいい。




この先こいつに好きな奴が出来ても、
俺は芽生を嫌いになれないし、
幼なじみっていう関係も無くならない。




こいつの隣にほかの奴がいても、
俺は芽生が笑ってるならそれでいいんだ。





「愁ちゃん何をお願いしたの?」




言えねーよばーか。




本当は言いたいのに。



あの頃からずっと好きだって言えたら楽なのに、
それを言ったら芽生はきっと混乱するし、
多分今日までの関係もなくなる。





幼なじみ。






越えたくても超えられない壁。


壊したくても壊せない壁。




俺と芽生の今までがそこにはあったから。




< 51 / 316 >

この作品をシェア

pagetop