お面妖狐
「さ、京に戻ろう?」
『うん』
「俺も!」
「僕もです!」
二人がいるから、帰るには来た時間より戻る時間のほうが長いな…。
でも、喋ってれば時間は早く進むんだから、
喋ってればいいんだよね。
『二人とも、よく走ってきたね』
「あぁ。一部分だけ話聞いちまってな。
西の方角になんちゃらかんちゃらってな」
「心配で走って追ってきたんだ」
心配って…。
どうせ、私は死なないし…。
平気なんだけどな…。
「二人は新撰組なんだって?」
「そうだけど」
「新撰組って、長州と敵対してるんだよね?」
「あぁ。長州は俺達の敵だ」
「じゃあさ、白夜を預かってくれないかな」
『え?!あ、兄様?!!!』
私を、新撰組に?
あの人間集団の中に??
二人も驚いて目を見開く。