約束、

《どうして》

《どうして》

その日の放課後、玲奈に誘われ学校の近くのカラオケにあたしたちはいた。
玲奈から誘ってくるのも珍しく、しかも2人きり。
「じゃ、初めに何歌いますー?」
とノリノリであたしが言うと
「今日は、亜希の話しが聞きたいの。」
玲奈が真剣に言ってきた。
「話しって?」
「中学のときの。」
「なんだー。たくさん話したじゃん。修学旅行のときにいびきがうるさくて有名になったこととか。笑」
最近、話したばかりなのにな。玲奈は聞いてなかったのかな。
「恋の話しだよ。」
―ドクン。
大地のこと・・・・・・言えるわけない。
「だから、前も話したとおり、いい恋してたよ。すぐ、振られちゃったけど。」
適当な嘘ではない嘘をついてしまった。
バレてないよね・・・。
「違う。」
「え、何が?」
「亜希、私には何も話してくれないの?まだ出会って2ヶ月しか経ってないし、私の思い違いかもしれないけど、何か隠してる。ふと、見せる亜希の悲しそうな顔、もう見てられないよ。」
玲奈には全て見透かされてたのかな?
それとも、あたしが分かりやすいのかな?
「玲奈・・・」
「しんどくて言いたくなかったらいい。でも、聞いてもらいたいけど誰にも言えなくて、1人で苦しんでるなら話してほしい。」
玲奈の今まで見たことのない、すごく心配してる顔を見て、今まで誰にも言えなかった深い深い心の傷をすべて話すことができた。
玲奈はずっと泣きそうなあたしの話を聞いてくれて話し終えた後、
「つらかったんだね。」
と自分のことのように泣いてくれて、心の傷が少しだけ癒された。
そんな気がしたんだ。
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