Is you is or is you ain't my baby?
「それもそうか…。

じゃあ、私たちはバーに戻っていろいろと決めようか」

そう言った小梅に、
「ええ、そうしましょう」

英恵は首を縦に振ってうなずくと、彼女と一緒に出てきたばかりのバーへ戻った。

同じ頃、大通りでタクシーを拾った櫻子は『エンペラーホテル』へと向かっていた。

向かっているところだと書いたメールを送信すると櫻子は息を吐いた。

「あーあ、バカバカしい。

何を思っての恋人ごっこで友情ごっこなんだか」

毒づくように呟いた後、櫻子は窓の外に視線を向けた。

これから『エンペラーホテル』の高級レストランで、同業者何人かと一緒に祝杯をあげるのだ。

「あたしを見捨てた当然の報いよ、お兄さん」

櫻子はニヤリと口角をあげて笑った。
< 143 / 315 >

この作品をシェア

pagetop