Is you is or is you ain't my baby?
「どこかへ出かけるのか?」

そう聞いてきた久仁城に、
「ええ、ちょっとね」

櫻子は答えると、カバンから分厚い茶封筒を出した。

「はい、今日の分」

久仁城の前に封筒を置くと、櫻子はその場から立ち去った。


同じ頃、小梅は待ち合わせ場所の駅前へと足を向かわせていた。

「あっ、いたいた」

すでにきていた英恵の姿をみつけた小梅は、彼女に歩み寄った。

「ハナちゃん」

小梅が声をかけると、
「おはようございます、ライターさん」

英恵はあいさつをした。

「“ライター”って呼び捨てにしていいよ」

小梅は笑いながら言った。

「あっ、アッキーさんもきましたよ」

英恵の視線の先を向けると、櫻子がこちらに向かって歩いてきていた。
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