Is you is or is you ain't my baby?
同じ頃、櫻子は唐沢と一緒にタクシーに乗っていた。

「見ましたか、あいつらの顔。

まさにこの世の終わりって言う顔でしたよ」

唐沢はヒヒッと笑いが止まらないようだ。

2人は今、渦中の『平和興業』からの帰りだった。

「そうね、見ていてすっきりとしたわ」

櫻子はクスクスと笑った。

その場にいた父親の絶望的な顔が忘れられない。

「買収まで後1歩と言うところまできましたよ」

そう言った唐沢に、
「次の手は、もう考えているのよね?」

櫻子は聞いた。

「ええ、おっしゃる通りですよ。

次は、檍英介への攻撃ですね」

首を縦に振ってうなずいた唐沢に、
「来週が楽しみだ。

これで一家で心中でもしてくれると助かるんだけどね」

櫻子はバカにするように笑った。
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