イジワル同期とルームシェア!?
心配とも苛立ちともつかない気持ちのまま、私は待った。
22時になっても23時になっても元希から連絡は来ず、三度かけた電話はすべて留守電だった。

ついに日付が変わる。

私の胸から苛立ちはなくなり、ただの心配だけが残った。
23時のニュースでも湾岸線の事故は報道されていた。何人か搬送されたというけれど、正確な状況はわからない。

まさか、違うよね。

きっとすぐに帰ってくるよね。お腹を減らして疲れたーなんて言いながら帰ってくるよね。

自分に言い聞かせる。言い聞かせないとやってられない。

もしも、元希に何かあったら誰が私に連絡をくれるんだろう。

私と元希が付き合っていると思っている大士朗?
恋人かもしれない毬絵さんは、わざわざ私に連絡はしないだろう。

そんなことより、何かあったとしたらどうしよう。
すごく険悪なまま離れてしまった私と元希。

ふと思い出す。
涼子と努くんはどんなに喧嘩しても、家を出るときキスをするんだって。
事故や病気、お互い何があるかわからない。最後に会った顔が怒った顔じゃ虚しいからって。

ふうん、そんなものかなぁと思っていたけれど、いまならわかる。
そりゃ、私と元希は恋人同士じゃない。

だけど、最後に顔を合わせて笑ったのがいつかわからない。そんな離れ離れは嫌だ。

お願い!無事に戻ってきて!
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