イジワル同期とルームシェア!?
会社までひたすらに歩く。

暑い暑い真夏の朝。
汗をぬぐい通勤する会社員の群れに紛れる。

頬を汗が伝うものの、私の頭は冷えていた。


私は元希の気持ちに応えられない。


元希が好きかどうかは、今の私にはまだわからない。
流されるかたちで元希の愛情に応えるなんて駄目だ。


元希の気持ちはいつからか透けて見えていた。

気付けとばかりに向けられる揶揄交じりの好意を、無視してきたのは私だ。
毬絵さんとの関係を盾にして。

元希の気持ちに薄々感づきながら、居心地よさに甘えていた。
快適な二人暮しが当たり前に続くと思っていた。

ずるい。
私は卑怯だ。


物流部の棟に着くと、制服に着替える。まだ無人であろうオフィスに入るため、キーボックスを見るけれど、すでに鍵はない。
誰か先に出社しているのだ。

二階の事務所に入ると、そこには三谷さんがいた。

いつも来るのは始業ぎりぎりなのに。
< 213 / 323 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop