イジワル同期とルームシェア!?
自宅に帰り着くと、ぐったりと疲れていた。
疲労感よりやるせなさが勝っているのはどうしてだろう。

ふとポストに郵便が届いていることに気付く。
白い封筒。
裏には元希の名前が書いてある。

元希には念のため新しい住所を教えて行ったけれど、何か送られる心当たりは無い。


封を切ると出てきたのは、丁寧にハンカチに包まれた片方のピアス。

間違いなく私のものだ。
荷造りしたものと思っていて、引越しが終わったら片方だけ行方不明になっていた。
やっぱり元希の家に忘れてきていたのだ。

なくしたと思っていたものが手の中にある。
それが元希からもたらされたものだと思うと、どうしようもなく切なく、また嬉しかった。


『洗面所に置き去りにされていました。片方じゃピアスも可哀想なので送ります。
大事なものは置いていかないように』


元希の字でそう書かれていた。

お気に入りのピアスで確かによくつけていたもんね。
そんなことまで知っているほど、元希は私を見ていたのだろう。
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