イジワル同期とルームシェア!?
会議室に資料の束を置かせてもらい、物流部の棟に戻った。

退勤をパソコンの社内システムで入力し、着替える。

倉庫でまだ仕事中の小里さんをはじめとしたおじさま社員に挨拶をすると、重たるい身体を引き摺り、外に出た。


ふと横を見てしまったのがよくなかった。


本社の玄関先で楽しそうに話をしているのは、元希と渡辺さんだった。
経理の、元希のことが好きなあの子。

何をやっているのかな。
帰り際、偶然一緒になったとか?
それとも約束してごはんでも行くのかな。

渡辺さんは心から嬉しそうに笑っているし、元希もまんざらでもなさそう。
私とは重ならなかった視線は、渡辺さんとは絡むのだろうか。

心臓をハンマーでぐしゃぐしゃにつぶされたような気持ちになった。


駄目だ、私。
こんなに元希を気にしてちゃ駄目だ。

元希はもう別な道を歩もうとしている。

いつまでも元希が私を好きでいるはずはないんだから。

切り替えろ、弁えろ、前を向け!

私はふたりの視界に入らないように、こそこそとその場から逃げ出した。
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