イジワル同期とルームシェア!?
いい話じゃない。
グループトップのアデレードホテルへ移籍できるなら最高だ。


「文が元気ないのは元希の件でしょ?」


涼子がためらいがちに言葉を続ける。


「好きじゃないなんて言って同居をやめといて、今更そんな顔すべきじゃないよ」


「私、どんな顔してる?」


「絶望。どん底。文のそんな顔、見るのはつらい」


涼子は私を心配してくれている。そして、煮え切らない私の背を押したいのだろう。
だけど、私と元希の同居解消のきっかけを作ってしまったからか、口に出せずにいるようだ。


「もう、終わったことだし。私と元希……青海は関係ないよ」


私はわざと明るく言った。

だって、私に何ができるの?

もう、うまく話すこともできず、顔も滅多に合わせない元希。
あんな拒絶をした私が、これから輝かしい未来のある元希になんて言えばいいの?

好き。付き合って。
アデレードホテルに移籍なんてしないで。
ずっと一緒にいて。

そんなこと言えるはずがないじゃない。
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