イジワル同期とルームシェア!?
呆気にとられる暇はなかった。
私は続けざまにもたらされた情報に、言いようのない焦りを覚えた。
だけど何もできず、ただ拳を握る。


「古町おまえ、青海に会いに行ってこい!このままじゃ、あいつアデレードホテルの人間になっちまうぞ!」


「……それは、青海が決めることだから」


答えながら、焦燥で胸がやぶけそうになる。
どうしよう。元希が行ってしまう。
私には手の届かないところへ行ってしまう。

普段冷静な努くんの口調が焦りと怒りで熱を帯びていた。


「あいつとは仲良く同期をやってたつもりだ。だけど、俺にも古町にも何も言わず、転職するなんて有り得るか?そんなに友達甲斐のないヤツだったか?仮にアデレードに移るなら、納得いく理由が知りたい。あいつがよそよそしい態度になる原因が知りたい。古町はこのまま青海が行っちまってもいいのか!?」


嫌だ。
いいわけない。

だけど、私にそんなこと言える資格なんか……。
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