飴とノイズと君の声
「...やった!あー...緊張した」


その言葉を聞いて、琳ちゃんさんは無邪気な笑顔を私に向けた。

まるで子どもみたい。
テレビで見る琳ちゃんさんと、私が見ている琳ちゃんさんは、同じようで違う。


「...すっごい不安だったんだよー。自信が無かった訳じゃないけど」

「なっ!?やっぱり確信してたんですか!?」

「あはは、まぁね。ふーちゃん、顔真っ赤にして俺のこと見てくれるから」


やっぱり、琳ちゃんさんは意地悪な人。
そして、キラキラしてて、皆を引っ張るカッコいい人。

...だけど、脆くて少し、臆病な人。


「...ふーちゃんにしか、その顔は見せてないけどね」

「えっ...?」


私の心の声が聞こえたかのように、琳ちゃんさんはそう言った。


「なんか、今ふーちゃんが考えてること、分かっちゃった」

「えぇっ!?」


なんで!?


「...もう、大分女性に対する恐怖は薄れたけどさ、その顔は、多分この先もふーちゃんにしか見せられない」


「だから、俺のこと支えてくれないかな?」
琳ちゃんさんがそんなことを言うから、私はまた、顔を赤くする。


「...ふーちゃんのことは、俺が支える。っていうか、守る」

「...私だって、琳ちゃんさんのこと守ります」
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