飴とノイズと君の声
私は、琳ちゃんさんの方に傘を傾けた。

琳ちゃんさんの表情を傘で隠すと、琳ちゃんさんの目からは大粒の涙が溢れていく。

琳ちゃんさんがどうして泣いているのかは分からない。
私は何も言わず、暫く傘を持っていた。


「...なんで?」

「え?あー、天気予報で、雨が降るかもって」

「そうじゃ...」


分かっていた。
琳ちゃんさんが聞きたいのは、そういうことじゃない。
きっと、どうして泣くのを分かっていたのかってこと。


「...天気予報、当たってたね」


だけど、琳ちゃんさんはそう言って微笑んだ。
キラキラの笑顔じゃなくて、少し前に見た、ほんわかした笑顔。

天気予報は、大外れだった、はずだった。
午後に雨が降る。
だけど、その天気予報はどうやら間違ってはいなかったようで。


「ふーちゃんって、なんか不思議」

「そうですか?」

「...だって、まるで俺の心を読んでるみたいだから」

「...あながち、間違いじゃないですよ」


私がそう言って微笑むと、琳ちゃんさんはふっと笑って、「やっぱりふーちゃんは面白いよね」と言った。

やっぱり、本気にするわけ無いよね。


「そうですかー?」


私はそうふざけたように答え、琳ちゃんさんと笑い合った。

< 31 / 110 >

この作品をシェア

pagetop