飴とノイズと君の声
第二章

本当の笑顔

次の日、私が教室に行くと、もう琳ちゃんさんの周りには人だかりが出来ていた。

やっぱり変わらない、キラキラした笑顔は、私にとってはやっぱり不自然で。


「あ、おはよう、風歌ちゃん!ねぇ、聞いてよ~。琳ちゃん昨日、仕事の時間間違えてたんだってー!」

「だからあんなに走ったんだって!琳ちゃん抜けてる~」


笑い声が響いて、琳ちゃんさんも恥ずかしそうに笑う。


「そうなんだ」


微笑んで、そう答えるしかなかった。
琳ちゃんさんの嘘を、私が暴く必要なんて無いから。


「おーい、席つけよ」


担任の片島先生が入ってきて、みんながバラバラと散っていく。

琳ちゃんさんはみんなの後ろ姿を見ていた。


『嘘だって疑わねぇんだよな。その方がありがたいけど』


...やっぱり、本当は気付いて欲しいんじゃないかな。
< 32 / 110 >

この作品をシェア

pagetop