飴とノイズと君の声
「...なんて偉そうに言えるわけじゃないんだけどね、俺も」


そう言ってけーちゃんさんは、少ししゅんとした。

私が首をかしげてけーちゃんさんを見ると、けーちゃんさんはゆっくりと口を開いた。


「今ふーちゃんに言ったことはね、琳ちゃんが俺に相談してきてくれたことなんだ。時々言葉を詰まらせながら、一生懸命、打ち明けてくれたこと」

「けーちゃんさんのこと、頼りにしてるんですね」


私がそう言うと、けーちゃんさんはふるふると首を横に振った。


「確かに、その時はそうだったのかもしれない。だけど、俺は琳ちゃんの気持ちが分からなかった。琳ちゃんが言いにくいことも俺に打ち明けてくれたのに、俺はどうしたらいいのか分からなくて、ただ、頷いて聞くしかなくて」

「でも、話を聞いてもらえただけでも、楽になったんじゃ...」

「...ううん。琳ちゃん、それから俺に何も言わなくなったんだ。辛かった過去も、今の不満も。いつもヘラッてしてるイメージ。俺にも無理して笑ってる気がする。...きっと、琳ちゃんは答えが欲しかったんだよ。俺に、答えを、ヒントを...求めてた。でも俺は何も言ってあげられなかった」


けーちゃんさんは、悔やむように話してくれた。


「...琳ちゃんのこと、お願い。きっと俺より、ふーちゃんは琳ちゃんのこと、分かってあげられると思うから」
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