飴とノイズと君の声
[それから、かな。
女の人に愛されることも、人前で寝ることも怖くなった。
女の人と一緒に寝れば、あの狂った愛を向けられるかもしれない。
男の人と一緒に寝れば、そんな女の人を連れてくるかもしれない。
そんな不安が、ずっとあって。
いつの間にか自分に向けられる好意の目が、全部俺を苦しめるものだって認識するようになった。
新しい家族だってめちゃくちゃになった。
親父は俺を軽蔑したような目で見て俺を捨てたし、その女性も、俺に飽きたのか出て行った。
いつの間にか一人ぼっちで、俺は本当の母親を探したくて。
テレビに映れば、いつか母親の目に止まるんじゃないかって。
そう思って、アイドルになった。
バカだよね、俺。
周りにそんな目で見られることが多くなって、結局人を信じられなくなって。
ほんと、何やってんだって感じ]


琳ちゃんさんはその文章を私達に向け、ヘラヘラと笑った。

だけど、それを見てけーちゃんさんは、苦しそうに俯いて、琳ちゃんさんを抱き締めた。
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