ピエロ
にっこりと笑った顔が近づく。
「あ、えっと。
…考えごとしてたら、迷っちゃって。」
ほんの少し後退りながら答える。
少しの沈黙。
一瞬だけ、
彼の表情が動いた気がしたけれど、
それは本当に一瞬だけで。
次の瞬間には、
彼は元通りの綺麗な笑顔だった。
「……へぇ。」
なんとも言えないような声色。
楽しそうな、でも寂しそうな、
温かくて、でも確かに冷たい。
そんな声色。
いろんな思いが混ざったみたいな。
笑顔は変わらないのに。
彼はニコから離れて、そして言う。
「なに。悩みごと?」