恋はしょうがない。〜幸せな結婚式〜



真琴がゆっくりとグローブを抜き取り、古庄はリングピローのサテンのリボンを解いてキラリと光るリングを手にする。
それは以前、女子会の時に真琴が指し示した写真のリングだった。


古庄は一歩真琴へと歩み寄ると、その左手を取り、さっきまで婚約指輪があった薬指へとリングを嵌める。


その一連の古庄の動きに、一同はため息をもらした。
こうやって晴れの舞台に立つ古庄は、相変わらず完璧な容姿と立ち居振る舞いで、何をしても皆の目をうっとりとさせる。



「続いて、賀川先生から古庄先生へとお渡しいただきます」


そう指示をされた真琴は、古庄と同じように佳音から同じ形のリングを受け取り、古庄の指に嵌めた。


これで、古庄は正真正銘の「既婚者」となり、これから出会う女性たちは、この結婚指輪を見てガッカリすることになる…。



「リングガールをお務め下さった森園佳音さん、ありがとうございました。……さて……」


と、それまで軽快に司会を続けていた女の子が、少し含みを持たせるように間を置いた。


次は何があるのかと、古庄と真琴もその放送部員の方へと目をやる。
観衆たちも「何?何?」と、ざわめき始めたところで、先が続けられた。



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