No one can replace 『貴方の代わりには、誰もなれない。』
Ⅳ ケガとあなた
妹の彩乃は、
「圭吾は、目が見えていないのでしょ?
それならお姉ちゃんに私の身代わりを
お願いして
圭吾の付き添いをしてもらったら?
私とお姉ちゃんは、
背丈も変わらないし
声もそっくりだから
きっと、圭吾には、わからないよ。
そしたら、私も安心して留学できるし。」
と言い出した。

紗綾乃は、呆れながら
「彩乃、あなた、何を言っているの?」
と、言うと。

父が、
「自分からも頼む」
と、言ってきた。
私に日頃、話しかけもしない人が‥‥

でも、私は、
「水上さんを騙すみたいで嫌です。
目が見えていなくても、きっとばれます。」
と言った。

三人は、押し問答になり
答えは、出ないままだった。

その夜、紗綾乃が
リビングの前を通ると
父と母の言い合う声が聞こえた。
両親は、とても仲が良いため
喧嘩することもないのに・・・

母が、
「私は、反対です。
なぜ、紗綾乃が身代わりを
しないといけないのですか?
あなたは、いつも彩乃のことばかりで、
紗綾乃の気持ちも考えて見てください。」
と、言っていた。

私は、父の言葉を待たず部屋に戻った。
自分のせいで両親が、
言い争うのは嫌だった。


紗綾乃には、
ずっと思い続けていることがあった。
それを実行するときが来たと思い、
再び両親の元へ向かった。

紗綾乃は、ずっと
自分はこの家には不要な存在だと
思っていたから·····

父と母に向い
「私が出す条件を
全て受け入れてくれるなら、
この話を受けます。」
と、言うと
母は、
「紗綾乃、そんな事、
    やらなくていいのよ」
と、言ってくれたが‥‥
父は、
「話してみなさい。」
と、言った。

私は、
「ひとつ、水上さんにばれても
  一切の責任は追わない。
だが、きちんと配慮はします。

ふたつ、彩乃が留学から戻り次第
私は日本を離れドイツに永住する。

みっつ、二度と日本には戻らない。
    
この条件を飲んでくれるなら、
付き添います。」
と、言うと。

母は、
「生活は?」
と、聞くが

私の書いた絵や絵本は、もう出版され、
売りにだされていて、
私一人ドイツで生活するには
問題ない収入は得ていた。

それに、ドイツには、
私の良き理解者のギゼラがいてくれる。
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