明日はきっと晴れるから
春町くんの『人それぞれ』という言葉に、由希奈ちゃんは「そっかぁ」と納得してくれた。
私は胸がドキドキするのを感じていた。
もしかして春町くんは、かばってくれたのかな……?
私が悲しんでいるのに気づいて、丸く収めてくれたのかな……。
春町くんの優しさにドキドキしていると、購買で売っている焼きそばパンを渡された。
「勝手に食べてごめんね。代わりにコレ、好きなだけ食べていいよ。
俺の食いかけで悪いけど」
「あ、ありがとう……」
半分、食べかけの焼きそばパンを手に、顔が赤くなっていくのを自覚していた。
小さく一口だけかじって彼に返すと、春町くんは大きな口で残りを頬張りながら、後ろの男子ふたりとの会話に戻っていく。
これって……間接キスだよね……。
そのことを意識して恥ずかしがっているのは、私だけみたい。
美緒ちゃんと由希奈ちゃんは、別の話題で盛り上がっているし、後ろの男子ふたりも春町くんに突っ込んだりしない。
私にとっては、こんな経験初めてでドキドキしちゃうけど、みんなにしたら当たり前のことなのかな……。