明日はきっと晴れるから



春町くんの『人それぞれ』という言葉に、由希奈ちゃんは「そっかぁ」と納得してくれた。


私は胸がドキドキするのを感じていた。



もしかして春町くんは、かばってくれたのかな……?

私が悲しんでいるのに気づいて、丸く収めてくれたのかな……。



春町くんの優しさにドキドキしていると、購買で売っている焼きそばパンを渡された。



「勝手に食べてごめんね。代わりにコレ、好きなだけ食べていいよ。
俺の食いかけで悪いけど」


「あ、ありがとう……」



半分、食べかけの焼きそばパンを手に、顔が赤くなっていくのを自覚していた。


小さく一口だけかじって彼に返すと、春町くんは大きな口で残りを頬張りながら、後ろの男子ふたりとの会話に戻っていく。



これって……間接キスだよね……。


そのことを意識して恥ずかしがっているのは、私だけみたい。


美緒ちゃんと由希奈ちゃんは、別の話題で盛り上がっているし、後ろの男子ふたりも春町くんに突っ込んだりしない。


私にとっては、こんな経験初めてでドキドキしちゃうけど、みんなにしたら当たり前のことなのかな……。


< 57 / 257 >

この作品をシェア

pagetop