傷む彼女と、痛まない僕。

 「面倒とか迷惑とか、そんなの北川が決める事じゃないだろ。 彼女側が判断する事でしょ。 北川を好だっていうコはさ、きっと北川の全部が好きなんだよ。 病気ごと全部好きなんだよ。 そういう人の事を、自分の勝手な決めつけで突き放すなんて、絶対に間違ってると思う」

 小山くんの瞳には、一点の曇りもない。 どこまでも澄んでいて。

 どうしたらこんなに誠実でいられるのだろうと思うほど、真っ直ぐな小山くん。

 小山くんの言葉は嬉しい。 僕もそうであって欲しいと思う。 だけど、

 「・・・そうだね。 僕、間違ってたね。 でも、出会ったその日に恋愛するのは、やっぱ難しいよ」

 そもそも何事も起こっていないのである。
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