傷む彼女と、痛まない僕。
 
 「何時から?? 明日、午後からバイトなんだよね」

 吉野さんが携帯に視線を落とし、スケジュールを確認した。

 「第一試合だから9:00!! 来れるよな!? 吉野に応援して欲しい!!」

 吉野さんの明日の午前の予定が空いている事を知った小山くんは、嬉しそうに最早告白に聞こえなくもない恋心を吐露した。 本人はそういうつもりではないのだと思うけど。 この人は、本当に隠し事の出来ない人間だ、とつくづく思う。

 「来て欲しいな、吉野さん。 吉野さんに小山くんのフェイダウェイシュート見て欲しいな」

 そんな恋する男子・小山くんが、吉野さんの応援によって力を発揮出来るのならば。と、バスケに興味なさ気な吉野さんでも知っている、あの日教えたシュートの名前を出しながら、僕も吉野さんを明日の試合にお誘いした。
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