アリスには赤い薔薇を
猫には白兎の首を
「そんな感じ」
猫は苦笑していた。
いい人かなと思った。
いきなり傷を
舐められて
びっくりした。
けど、それは
口数が少ないせいで。
誤解を招きやすい
だけかもしれない。
「ありがとっ」
ちょっと照れて
可愛くない言い方
をしてしまった…
アリスは言って
すぐに後悔する。
ぶっきらぼうな
言葉。
気を悪くしてない
だろうか。
猫の顔をちらりと
見てみるとそこには
見えにくいけど
確かに微笑みが
浮かんでいた。
良かった。
アリスは胸を
なでおろした。
嫌われたくない。
もしかしたら
唯一の味方かも
しれなかったから。