横顔の君




「ごちそうさまでした。
本当においしかったです。」

「今日は隠岐さんが来て下さったおかげで、私も美味しいお肉が食べられました。
これからもちょくちょく遊びに来て下さいね。
隠岐さんが来て下さったら、美味しいものが食べられそうですから…」

「も、もうっ!お母さんったら!」



今日のお母さんはどうかしてる。
お茶目が過ぎる!!
そのせいで、私はひやひやしてばっかり…



とはいえ、そんなお母さんのせいもあって、今日は笑い声が絶えなかった。
初めての顔合わせは、うまくいきすぎるほどうまくいった。
照之さんも最初こそ少し緊張していたものの、後になるほど、ますます楽しそうにしてくれた。



「それじゃあ…また。
今日は本当にどうもありがとうございました。」

「こちらこそ、どうもありがとう。
またぜひいらしてくださいね。」

「はい、ありがとうございます。
じゃあ、紗代さん…おやすみなさい…」

「おやすみなさい。」



10時過ぎに照之さんは家を後にした。
お母さんのおしゃべりがなかなか止まらなくて、照之さんはついつい引き止められてしまったのだ。
早寝の照之さんにとっては、もう眠くなる時間だ。
お母さんの手前、かなり頑張ってくれたんじゃないかなって思うと、彼のことがとても愛しく感じられた。



「とっても感じの良い人ね。
お母さん、あの人、気に入ったわ。」

「そう、良かった…」

「紗代…
良い人と知り合えて良かったわね…」

「うん…」



お母さんの言葉にほっとした。
それと、照之さんのことを良い人だと認めてもらえたことが、とにかく嬉しかった。
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