姉の思い出 短編集
そんな時、しぶしぶではありながらあたしが司をお姉様の包囲網から救い出していた。
司の優しくて綺麗なママから、司のことを頼まれていたのもあるし、あたしのほうが司より1ヶ月お姉さんだからだ。
天使のような司が目にいっぱいの涙を溜めて怖かったというのを、撫でてあげて落ち着かせて家まで連れて行けば、司ママの感謝の言葉に手作りお菓子の歓待が待ち受けていて、幼心にこれはオイシイと認識してしまった。
つまりはあたしの一番の関心事は司ママのお菓子であって小鹿のようにぷるぷるふるえる天使ではなかった。
幼い頃からの耐性があるのか、幸いなことに司フェロモンが効かない体質だったのも良かった。
保育園、小学校を経て大分、司という人物の扱いに長けたつもりでいたが、思春期を迎えてややこしいことになっている。
「駄目だよ。結香はかわいいから、拉致られちゃう。どこかへ行く用事があるなら僕が守ってあげるから」
身の危険を感じた両親の希望で護身術のために空手を習い始め、すでに有段者になった司は身長も伸びてがっしりとした体躯になった。