嫌いじゃない。
だ、だって




『それ、オレ持つよ』



『女の子なんだから、そんな無理しちゃダメでしょ?』



あの…爽やか後輩が私を?



「矢澤、趣味悪すぎ…」



「そんなことないって。神崎先輩は、ちょっと不器用なだけでしょ?」



そんなことない。
ただの、ひねくれてる嫌な女じゃん。



「……芹沢君、賭けてるんでしょ?」


「え?」


「デートの事。昨日帰り道で聞こえた。あんな大きな声で話してたもんだからね。


それでさ…その賭け、オレも乗っかってもいいかな?」



目線を廊下に向けながら言う。


すると、芹沢が教室の中に入ってきて、



「上等」


口角を上げてそう言った。
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