音ちゃんにお任せ
「つまらないんだって。優しすぎて、つまらないって」
「・・・っ」
「なんだろうね。俺がしてきたことって、全部無駄だったのかなーって思ってさ。彼女の都合に合せたり、優しくしたりって、俺の独りよがりだったのかな・・・」
「そんなことは・・・っ」
かけられる言葉が見つからない。
でも、私なりの言葉で。
なにか、伝えられたら。
「結斗くんは素敵です!いつも笑顔で、明るくて、一ノ瀬家を明るく灯してくれていて!私は、素晴らしいと思います。結斗くんの優しさも、思いやりも、きっとわかってくれる人はいます。それがいいと、言ってくれる人はきっといます」
「音ちゃん・・・」
「でも、もしかしたら、彼女にあわせたい一心で、ムリをしていたのかもしれません。結斗くんが、結斗くんでなくなっていたのかも。もしかしたら、彼女はそう言いたかったのかもしれません。結斗くんらしくいてほしかったのかも」
彼女の心を推し量ることはできません。
でも、今まで過ごしてきた時間が無駄だなんて思えません。
思いたくもありません。
彼女が、結斗くんを好きでいたことは、確かなのでしょうから。
「結斗くんは、結斗くん自身を、忘れないで欲しいって・・・そう思ったのかも」
「なにそれ・・・。でも、そう考えたほうが・・・幸せかもね」
結斗くんがほほ笑む。
少し無理した微笑でしたけど。