音ちゃんにお任せ



「あの、琴心ちゃんはご飯は食べましたけど、何かあってはと思ってお風呂に入れてあげられていません。明日の朝にでも入れてあげてください」

「・・・ああ」

「後、これまたおせっかいとは思ったんですけど、皆さんのご飯も作ったのでよかったら・・・。あ、でも、捨ててくださってかまわないので」




浮かんだ気持ちを消し去るように早口でまくしたてるように話す。




「あ、安心してください。道具は貸していただきましたが、他のものは一切使っていないので!では、私はこれで失礼します!」



逃げるようにかばんを持ち直し玄関に急ぐ。
まさか一ノ瀬くんの家だったなんて。




「ちょっと待って」




後ろから呼び止められ私は立ち止まる。
おずおずと振り返ると、一ノ瀬くんが私を見ていた。




「・・・ありがとう」

「え・・・、あ、い、いえ!」




そんな風に、声をかけてもらえるなんて思わなかった。
一ノ瀬くんの、見たことない一面を知ってしまいました。





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