フルート吹きの魔法使い

夜。

るりは明日のパーティーに備えて、早めに部屋へ戻った。
明日吹く楽譜の確認をする。
吹いてしまうと魔法が発動してしまうから、構えて指だけ動かして練習をする。

「明日、上手くいきますように」

るりはフルートを抱えて祈る。

みんなに心に残る演奏が出来ますように。
みんなが幸せな気持ちになれますように。


コンコン。

扉をノックする音が聞こえる。

「ごめん、こんな時間に。ルリいるか?」

扉の向こうの声はフランだった。なぜか、るりの心がとくんと鳴る。

扉を開けると、少し疲れたような表情を浮かべたフランが立っている。
手には大きな箱を抱えて。

< 149 / 270 >

この作品をシェア

pagetop