ヤンキー?なにそれ、美味しいの?

「安達くん、行かないで」


行かせたらダメな気がするの。

せっかく、少しだけど、安達くんがクラスに馴染めた気がしたのに。


「普通になれない」

そう言った安達くんの悲しそうな顔が、頭をよぎる。


苺花の声に、一度背を向けた内藤先輩は再び振り返った。


「あれ、この子」


面白い玩具を見つけたように、嬉しそうな表情をする内藤先輩。


本当に爽やかで、好きになってしまいそうな笑顔なのに、不思議と苺花は背筋が凍るように冷たくなるのを感じた。


「透の彼女?」


そう言われた直後、安達くんは腕を振り払い、苺花を後ろに突き飛ばす。

丁度いおちゃんのいる方に倒れ込んだ苺花は、綺麗にいおちゃんの腕に収まった。


「大丈夫?」


いおちゃんの小さな声に頷く。


「ちげーよ。行こう」


その場を早く切り上げようと足を進める安達くんに、助けてくれたのだと察する苺花。


< 198 / 215 >

この作品をシェア

pagetop