美男子の恋事情!

春川さんとの約束通り、俺は一年の夏頃には一軍入りを果たした。


もちろん彼女も初めて出場した大会を観に来てくれて。


彼女が観てると思うと、いつもより足の動きが良く精神的にも安定して、常に攻めの姿勢で試合に臨むことが出来た。


結果はベスト8だったけど、試合の内容としてはかなり良く、テニス雑誌に《スーパールーキー》と取り上げられたほどだ。


ただ一つ、春川さんが俺の応援に来たことで兄の春川部長に睨まれて、どういう関係か問い詰められたのは言うまでもない。




あれから一年。


俺は二年に進級し、上級生の引退後は櫻川高校テニス部の一番手を張ってきた。


が、相変わらず俺達の関係に変化はない。


日々変わるのは俺の春川さんへの気持ちで。


いつからだろう。


彼女の目を見ることも上手く喋る事も出来なくなっていたのは。


好き過ぎるがゆえ。


だけど、それで彼女を傷付けてしまったら元も子もない。





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