美男子の恋事情!

春川さんは俺の胸の内なんて知らず、手を繋いでいない反対側の手で俺の腕をそっと握った。そして。



「ねぇ……もう一度、聞かせて」


「何を?」


「……好きって」



色素の薄い潤んだ瞳が上目遣いに俺を見つめる。


予想だにしなかった彼女の誘惑に、頭の中で何かがプチンと弾ける音がして。


俺の理性は完全に崩壊した。



気付いたら、俺は華奢な体をきつく抱き締めていて。


甘い香りがする首元に顔を埋めた。



「ああー、もう!なんでそうなんだよ…」


「え?」


「俺、男だよ?ちゃんとわかってる?」


「もちろんわかってるよ」


「男は危険な生き物なんだ。そんなこと言ったら男が調子乗って襲われるぞ」



心配だ……春川さんは少し天然な所があるから。


知らないうちに他の野郎にそういうこと言って、危ない目に合わないか。



「他の人にはそんな恥ずかしいこと言わないもん。海生君だから……海生君なら私……」



< 45 / 145 >

この作品をシェア

pagetop