美男子の恋事情!
「…俺、優奈の気持ち聞いたことねぇし」
「何それ……それは、お互い様じゃない。拓真だって、一度も言ってくれたことないよ……」
俺らの始まりはキス。
胸が震えるぐらい幸せだった。
あれだけでお互いの気持ちがわかった気がして、俺らは自然と恋人同士になった。
だけど、それは間違いだったのかもしれない。
はっきりと言葉にしないと、ちょっとのことで崩れて不安になる。
「は?俺が何を言うんだよ。まさか、好きだって?」
「違う、の……?」
優奈の溢れる涙は頬を伝った。
中二の頃と変わらない綺麗な涙。
違わない。俺は優奈が好きだ。
だけど、今さら簡単に素直になんてなれねぇよ……
“好きじゃない”と、口を開こうとした時。
ズボンの中で携帯が震えた。
「もしもし?」
優奈を傷付けることを言わずに済んでちょっと安心してる俺がいる。
電話に出ると隣りのクラスの女子からで、彼氏と喧嘩したからストレス発散に付き合ってということだった。
俺は簡単に返事をして電話を切ると、涙でぐちゃぐちゃな優奈を見ずに。
「悪いけど、隣りのクラスの女に誘われたから行くわ」
そう言って、一人で学校を後にした。