ほたるの初恋、消えた記憶
祐吾はその雑誌を手に取りしばらくながめていた。


表紙はすれてボロボロだ。


美幸に誰にもらったのと聞かれたが、分からないと答えた。


5年ぐらい前に、民宿に泊まった男の子にもらったんだと思う。


その子が北海道へ行った話をしてくれて、いつか私も行きたいと言ったら、北海道の雑誌をくれたんだ。


その時オルゴールも貰ったと思う。


後で母さんに叱られたのを覚えているから。


赤い木の箱で、開けるとノクターンの音楽が流れた。


箱の中には青い石のペンダントも入っていて、驚いたのを思えている。


その男の子は毎年お母さんと一緒に民宿へ来てたけど、その年の後から来なくなった。


名前が思い出せない。



小柄で色白で可愛い男のだった。























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